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誰も来ない夜の廃ビル。とうに朽ち果て捨てられ取り壊されることもなく残ってしまった遺物。 轟炎司という男を知っているだろうか。 この超常社会、毎年発表されるヒーロービルボードチャートJPと呼ばれるヒーロー番付で、万年№2の燃焼系ヒーローだ。 ヒーローネームは『  デビュー当時から国民に絶大な支持を得たオールマイトとは違い、地道に敵逮捕などに貢献し、遂には事件解決数史上最多のヒーローとなった努力の男。 “個性”の『ヘルフレイム』は、文字通り地獄に燃え盛るような業火で敵を燃やす強力な“個性”だ。勿論、ヒーローという職業柄もあって敵を焼き殺す所業はしでかさないものの、そこら辺の雑魚敵であれば少し放つだけで許しを乞うほどの温度。  ……かくいう俺も、そんな父親の“個性”を半分受け継いでいる。  父親よりは少し明るい赤毛が、俺の髪の左半分を占めており、もう片方は母親の髪色を受け継いで白銀の髪が生えていた。 更にはオッドアイにもなってるのだが……この超常社会、見た目は別にあれこれ言うものでもない。 ただはっきり言えるのは、俺は他の上の兄弟と違って綺麗に半々、親の“個性”を受け継いだということだ。 ―――『半冷半燃』  右半分で氷結・凍結させることができ、左半分で炎を繰り出せる、これといったデメリットもない……自分で言うのもなんだが、完成された“個性”だ。 本来、燃やしたり凍らしたりといった“個性”は、酷使することによる体温の変化が課題となるのだが、俺の“個性”に関しては自分自身の“個性”で体温調整が可能。その為、さっきも言った通り、目立ったデメリットはこれと言ってない。  父親曰く、俺は『上位互換』らしいのだが、はっきり言ってそれは疑問だ。  何故ならば…… 「焦凍ォォオオ!! 学校お疲れェ!! 今日の夕飯はお前の好きな蕎麦だぞォッ!!」  ……俺なんかより、親父は熱過ぎる。     *    中学三年の秋。言わずもがな、今年は高校受験の年。 俺はヒーローになりたいから、№1ヒーローのオールマイトや他でもない父親のエンデヴァーの母校である雄英高校に通うつもりだ。 折角だったら、憧れのヒーローと同じ学校に通う方がモチベーションも保てる。 それに、ヒーロー養成教育機関としても雄英高校は最高峰だから、わざわざ他の高校に通いたい理由も見つからなかった。  成績は良好。推薦入試も受けられることとなっている。  しかし、やはり入試というものは緊張するものだ。 受験勉強はここで終わり、というラインが見えてこない。どれだけやっても足りないような気がしてならず、無意識のうちに自分を追いつめてしまうような感覚に陥ることも少なくない。  今日は、なんとなしに食卓でそんなことを言ってみた。 はっきり言えば、それは間違いだった。 親父のノリ的な意味で。 「大丈夫だ、焦凍!! やればできる!! 絶対できる!! お前は今迄頑張って来てるんだ!! 俺は知ってるぞ、お前の努力を!! だから強い心を持て!! その為には心の根……台風が来ても絶対に曲がらない米の苗のような心の根を生やすんだ!! お前も強い根を持て!! 出来る!! お米食べろ!!」「……今は蕎麦食ってるんだよ」  ビリビリと空気が震える声量で叫ぶ親父の声に、俺だけではなくお母さん、そして小学校で教師を務めている姉さんも引き攣った笑みを浮かべている。 俺に関しては、炙られたスルメのように、親父に対して反り返っていた。 ほぼ無意識の内だと言うのだから、自分でも驚きだ。 そんな声量で喋るもんだから、近所迷惑じゃないかとも昔は考えたが、俺んちは無駄に広いから、幸い騒音は外には響いてなさそうである。  ……あ、めんつゆに入れてた氷が溶けてる。 「もう、アナタったら……焦凍が困ってるでしょう」  対応に困った俺に助け舟を出してくれたのは、近所でも美人と評判のお母さんだ。個人的にも、お淑やかで大和撫子的な振る舞いをできる母親を持ったのは鼻が高い。 「ムゥ? 何を言ってるんだ、母さん!! 焦凍は俺と母さんの息子だぞ!? 自慢の息子だ!!」「それはそうだけど……」  今度は、俺に助け舟を出したお母さんが困った顔で微笑んでいる。 俺としてもそれは不本意だから、お母さんを犠牲にするよりかは自分でどうにかした方がいいと、お母さんと話し合っている親父に声を掛けた。 「……親父」「どうした、焦凍!? もしや、俺の必殺技の『灼熱バーニングフィンガー』を覚える気に……!」「なってねえよ」「なにィ……っ!?」  そんな残念そうな顔をするな。こっちが申し訳なくなるだろうが。 それに、なんで流派東方○敗の男が覚えそうな技を教える気満々なんだよ。俺は『石破○驚拳』も『超級覇○電影弾』も覚える気はない。  いつもこうだ。俺の親父は家を引っ搔き回す。 そんな親父に苦手意識を持ったのは、小学校一年生初めての授業参観だった。具合が悪くなったお母さんの代わりに、偶然休みだった親父が来ることになり、見慣れないスーツ姿で教室の後ろで佇んでたんだが、俺が作文の『僕の夢はオールマイトのようなナンバーワンヒーローになりたいです』という文章を読んだ時だった。 『焦凍ォォオオ!! 俺も頑張って№1になってみせる!! 俺もオールマイトを超えるぞ!! だから焦凍、お前は№1になった俺を超えていけェ!! お前なら絶対にできる!! やれる、やれるぞォ!!』  ……と、同級生の保護者が引くぐらいの剣幕で大声を張り上げ、俺は『焦凍のお父さん、やべえな』と暫くの間、友達に弄られるようになったのだ。 親父、アンタ社会人だろ。TPOを弁えろ。 子供ながらに、俺はそう思ったのだ。  因みに、俺の名前の由来は『心は焦げる程にホットに、頭は常に凍てつくほどクールに冴え渡る男になって欲しい』という願いかららしいが、親父のDNAに侵食されて脳細胞が焼き切れないか不安だ。 辛うじて今はお母さんのDNAの方が勝ってる気がするが、是非ともこのままお母さんには頑張って欲しいと思っている。  世間では『熱過ぎる男』として知られているヒーロー・エンデヴァーは、プライベートでも迷惑極まりないほど熱過ぎると言う訳だ。 「アナタ、焦凍が可愛いのは分かるけど、今は受験もあってデリケートな時期なのよ。焦凍が充分頑張ってるのは知ってるでしょ? だったら、そんなに応援ばっかしなくても……」「ああ、そうだな!! 焦凍は俺と母さんの愛の結晶だ!! 可愛くない訳がない!!」「ちょっとアナタ……子どもの前ですよ」「母さん……」「アナタ……」「あ~……お二人さん。夕飯中にイチャイチャしないでよ」  俺が遠い場所を見ているのを察して、姉さんが良い雰囲気になっている二人を窘めてくれた。ありがとう。 いい加減にしてほしい。俺は今年で15になるのだ。 15歳差の弟か妹が出来たとしたら、俺は一体どうすればいいと言うんだ。  思春期の俺の心は形容しがたい程にグチャグチャである。  ……と言うより、親父とお母さんは早く重ねている手を離してほしい。 最終話で繰り広げられる世界三大恥ずかしい告白シーンみたいな必殺技を放ちそうな雰囲気は止めてくれ。 これ以上轟家で、幸せ掴めと轟き叫びそうなムードは止めてくれ、本当に。 「まあ、それは兎も角だ!! 焦凍!!」「……この雰囲気で話を戻すのか」「ああ、戻すぞ!! 受験に向けて不安も多いだろうが、気にするな!! くよくよするな!! 大丈夫、どうにかなる!! Don't worry!! Be happyだ!!」  なんで急に英語なのだろうか。 というより、熱弁している所為か燃え盛っている炎の髭の勢いが増している。 「……髭の炎、もうちょい落ち着かせてくれ。このままじゃ焼き蕎麦になる」「ムゥ、ギャグか!? お前が冗談なんて珍しいな!! 明日は雨じゃないか!? ははははっ!!」「……」「えっと、お父さん。そこまでにしたげて」  笑い飛ばす親父を見て、姉さんが苦笑を浮かべて再び窘めてくれる。 不意に出た冗談の所為で、ここまで心がズタボロにされるとは思ってなかった。穴が在ったら入りたい。  顔から火が出そうだ。というより、実際出せる。  これも不意に口から出そうになったが、言ったら言ったでまた思春期の心がズタボロにされそうだから、蕎麦を啜ることでなんとか堪えた。  そうして、自分の分の蕎麦を食べ終えた俺は、消え去りたい気分のままに颯爽と和風のリビングから立ち去ろうとする。 「焦凍!!」「……アドバイスか?」「ああ!! お前に、伝えなきゃならん言葉がある!!」  呼び止められた俺は、そのまま逃げ去るのも申し訳ない気分になって、親父に面と向かう。 すると、いつも以上に炎が燃え盛る親父が、不敵な笑みを浮かべながらこう告げた。 「熱くなれ、焦凍!! 人間、熱くなったときが本当の自分に出会える!! だからこそ、お前はもっと熱くなれ!!」  何度も言い聞かされたようなフレーズ。 初めて『ヒーロー』になりたいと告げて以来、何十、何百、何千、何万と聞かされた言葉に、俺は呆れたような……それでもってここまで真摯に夢を応援してくれる人が居ることを嬉しく思い、ふと笑みを浮かべた。 「ああ……頑張る」「ようし!! 焦凍、お前の夢は一番になることって昔言ったな!!  ナンバーワンになるって言ったんだ!! まずは形から入ってみろ!! 今日からお前は……一番だ!!」「……それはちょっと何言ってるか分からねえ」「なにィっ!?」  俺が理解不能であることを告げれば、親父は愕然とした。 いや、お母さんと姉さんの顔も見てみろ。口あんぐりとしてるぞ。  でも……     *    そのまま推薦入試の日がやって来た。 出来るだけのことはやって来たから、不思議と心は落ち着いている。既に筆記試験は終えて、残りは実技試験が残るのみだ。 筆記試験と最後に行う面接は問題なさそうだが……問題は実技だな。  実技内容は、“個性”を駆使しての3kmマラソン。 コースと言うよりかは、どこかのテーマパークみたいだ。ちょうど、ジェットコースターのレールのような道もある。 (それだけ急勾配や障害物も多い道……面白ぇ)  推薦の実技試験……この場に集まっているのは、全国の中学生の中でも優秀な者達。この中から推薦に合格することに意味がある。でなければ、将来№1ヒーローになれないだろう。 一度に走るのは六人。 まずは、この中で一番にならなければ話にならない。  スタートの合図を報せるランプが、一つ、また一つと点っていく。 そして―――、 『スタ―――トっ!!』  試験官のプレゼント・マイクが、大声で試験開始を告げる。 同時に俺は、右脚が設置している地面を氷結させ、足元に氷を重ねることによってどんどん前へ突き進んでいく。 すると、風を切る音が少し後方から響いてくる。 徐に振り向けば、坊主頭で高身長の男子生徒が、風を身に纏いながら、旋風のように俺に迫ってきた。 (速ぇ……だが―――!)  ギリギリ俺の方が速度は勝っている。 しかし、その後も順調に進み続けてゴールが数十メートル先となった時だった。僅かに、坊主頭が俺の前を行く。 (ッ……! ギリギリ負け―――)   ―――熱くなれ、焦凍!!   (―――て、堪るかッ!!!)  ギリッと歯を食い縛る俺は、走る途中体温調節にしか用いなかった 必死に伸ばす腕。 それは、ほんの少しであるが……坊主頭がゴールするよりも先に、ゴールラインを越えた。 「僅差!! わずかに23番が先にゴール!!」  興奮した様子で結果を発表するプレゼント・マイクを余所に、俺は荒れた息を整える為に深呼吸を繰り返す。 すると、坊主頭の奴がズンズンと闊歩して俺に近付いて来た。 何事か。文句でも付けに来たのだろうか? なんとなしにそのようなことを思って居れば、相手はハキハキとした様子でこう喋りかけてきた。 「あんたってエンデヴァーの子どもかなんか!? 凄いな!」「あ? ……ああ。それがどうかしたか?」「いや、さっき抜かれる時ちょっと見えた目が、一回生で見たことがあるエンデヴァーにそっくりだったからな! あ、俺は夜嵐イナサ!! 熱血が大好きだ!」「……そうか」  とんでもない既視感を覚えた。 なんだ、俺はそういう人間を呼び寄せる“個性”的なものがあるのだろうか。  そんな他愛のないことを考えていると、夜嵐とか言った坊主頭は、これまた興奮した様子で語り続ける。 「俺、ヒーローって熱血だと思ってるんスよォ!! 熱い心が人に希望とか感動を与える!! 伝える!! だから俺、エンデヴァーのファンだっ!!」「……そうなのか」「ああ! あんたはどうなんだ!? エンデヴァーのこと、どう思ってたりするんスか!?」  不意に投げかけられた質問。 息が整ってきた俺は、夜嵐の質問に自然と笑みを浮かべて、こう答えるのであった。   「エンデヴァーは……―――親父は、俺の誇りだ」    どうしようもなく暑っ苦しい男は、紛れもなく救けを求める人々を燃え盛る業火で照らし上げ、すぐさま手を差し伸べる。 親父もまた、俺にとっては超える壁の一つだ。  今なら……そう言い切れる。  因みに、推薦入試が終わって帰った後も、合格通知が届いた後も色々と暑っ苦しかったのは、言わなくても分かるだろ。